プラモデルでスミ入れと言うと、エナメル塗料を使った方法であれば誰でも思い浮かぶでしょう。
スミ入れ用塗料として販売されているものがエナメル塗料であるくらいなので、一般的に普及しています。
しかし、エナメル塗料を使用するデメリットもあります。
それはプラを割ってしまうことがあると言うことです。
とくに可動部などの負荷がかかる箇所にエナメル塗料が流れてしまうと、より割れやすくなってしまいます。
そもそも、割ってしまったらリカバリがめんどくさくなるから、確かになんとかしたい・・・
もし、プラを割らないスミ入れ塗料が自分で作れるとしたら、一度試したくなりませんか。
そこで、本記事では水性塗料によるスミ入れの方法について解説します。
材料の解説や希釈まで色々試しているので、気になる方は最後までご覧ください。
最初に結論
塗料1:溶剤1:マイペット0.5の割合で希釈すると、スミ入れ塗料として使いやすくなります。
マイペットとは、洗剤のマイペットです。
そうです、あのマイペットです。
洗剤と水性塗料がどのように関係しているかについて気になる方は、記事を最後まで読んでいただけるとわかるようになっていますので、ぜひこの後も読み進めてみてください。
エナメル塗料がスミ入れ塗料としてよく使われている理由
さっそくですが、なぜエナメル塗料がスミ入れによく使われているのでしょうか。
かんたんに深掘りしていきます。
流動性が良い
スミ入れとはいえ、パネルラインを全てなぞってスミ入れしていくと、作業時間が永遠に足りなくなります。
とくに昨今の模型作品にはスジボリを多様し、面をアレンジした作品が多く見られます。
そのため、かっこよく仕上げたいけれど、作業時間を短縮したくなるものです。
そこで毛細管現象を利用し、塗料を流すように入れることで、スミ入れ塗料の拭き取り作業などの手間を簡略化することができます。
毛細管現象(もうさいかんげんしょう、英: capillary action)とは、細い管状物体(毛細管)の内側の液体が管の中を上昇(場合によっては下降)する物理現象である
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AF%9B%E7%B4%B0%E7%AE%A1%E7%8F%BE%E8%B1%A1
ここでは、細い管状物体は既存のモールドや彫ったパネルラインを指し、液体とはスミ入れ塗料を意味します。
つまり流動性が高いエナメル塗料を毛細管現象によって、パネルラインに流し込むことで、ラクなスミ入れが可能になるわけです。
ラッカー塗料を溶かさずに上から塗装できる
この理由も大きな一因です。
最もポピュラーなプラモデルの塗装に用いられるのは、ラッカー塗料です。
ラッカー塗料で基本塗装をするわけですが、エナメル塗料はラッカー塗料を溶かすことがありません。
そのためスミ入れはもちろん、ウェザリングなどの汚し表現にも用いられる便利な塗料なのです。
パネルラインを表現するためには、ラッカー塗料を溶かすことなく上塗りできて、流動性の高い塗料が要求されます。
これらの要求を満たすのが、エナメル塗料というわけです。
エナメル塗料にもデメリットはあります・・・
そんな便利な塗料なら、「エナメル塗料でスミ入れすれば何の問題もないし、これからもエナメル塗料を使っていくわ」と感じることでしょう。
しかしエナメル塗料には、プラを割ってしまうという大きなデメリットがあります。
素組み派のためのスミ入れはもちろんのこと、塗装派のモデラーも少なからず、エナメル塗料を使ったことでパーツを割ってしまった経験があるのではないでしょうか。
私もその1人です。
もちろん、エナメル塗料の特性を活かしてパーツを割る方法があるくらいなので、エナメル塗料を取り扱うには注意が必要になります。
パーツを割ってしまった際には、パーツのリカバリや請求をする必要が出てくるので、できれば割りたくないですよね。
そのためにも、「割れないスミ入れ塗料」というのが最近じわじわと広がっているわけです。
水性塗料をスミ入れ塗料に変身させるために必要なこと
割れないスミ入れ塗料を実現するには、水性(アクリル)塗料を使用した方法があります。
この方法はTwitterでも拡散され、塗料特有の臭いを減らせることからキッチンモデラーにも重宝されています。
しかし水性塗料は、プラモデルによく使用されるラッカーやエナメル塗料に比べると非常に伸びが悪く、スミ入れには適していません。
スミ入れに適した塗料に変身させるためには、界面活性剤を含んだ洗剤を混ぜる必要があります。
塗料と界面活性剤を混ぜることで塗料が持つ表面張力が弱まり、流動性を高めることが可能です。
スミ入れ用塗料の制作に必要な材料はこれ!
では、実際に水性塗料をどうやって希釈していけばよいのでしょうか。
水性塗料をスミ入れ用に特化させるためには、マジックリンやマイペットなどの界面活性剤を含んだ洗剤が必要です。
マジックリンとマイペットには決定的な違いがあります。
マジックリンはアルカリ性なのに対し、マイペットは弱アルカリ性です。
そのためマジックリンは水性塗料を分解してしまい、塗料としての性能を発揮しづらくなってしまいます。
今回は弱アルカリ性であるマイペットを用いて、塗料成分をできるだけ崩さずに流動性を高めることにしました。
マジックリンで試した方法は他でも検索すればたくさん出てくるので、差別化の意味も兼ねてマイペットを選択してみました。
希釈の割合のテストをしてみた
水性塗料をスミ入れ用に特化させるにあたり、パラメータは3つあります。
塗料、溶剤、マイペットの各量です。
今回のテストでは、塗料1:溶剤1の割合を固定した上でマイペットの量を変化させて、どれくらいの量で流動性が高まるのか試してみました。
筆に希釈した塗料を含ませ、パネルラインに5秒ほど流し込んだ結果が上の画像になります。
左のラインから順に、マイペットなし、マイペット2滴、マイペット0.5の割合、マイペット1の割合、スミ入れなしを示しています。
今回のテストでは、塗料1:溶剤1:マイペット0.5の割合から流動性が一気に高まったことがわかりました。
実際に流したときにスイスイっと流れていく感覚は非常に気持ちよかったです。
もし水性塗料でスミ入れされる際には、参考にしてみてください。
素組みしたRGを水性塗料でスミ入れしてみた
テストしたところまではいいものの、実際にプラモデルにスミ入れしてみないと使える塗料になるのか実感がわかないはずです。
そこで、ABSが多用されていたキットを水性塗料でスミ入れしてみることにしました。
この頃に発売されていたRGは、全身にアドヴァンスドMSジョイントが使われていたものなので、水性塗料を試すにはもってこいです。
理論上、水性塗料で塗装することで割れを防ぐことができます。
このあたりを検証していきましょう。
当然なのですが、何の問題もなくスミ入れできました。
もちろん、プラが割れるようなこともありませんでした。
水性塗料でスミ入れする際の注意点
ここまで水性塗料でスミ入れてきましたが、注意点があるなと感じたのでまとめておきます。
界面活性剤を含んだ洗剤は必ず薄めて使うこと
今回はマイペットを使用しましたが、薄めずに使ってしまうと、塗料の成分が分解されてしまうので注意が必要です。
塗料の成分が分解されてしまうと塗料がキレイに薄まらず、崩れてしまうので使用する際はテストしてからスミ入れすることをおすすめします。
拭き取りのタイミングは乾く直前がよさそう
エナメル塗料でスミ入れする際は、乾燥してから拭き取るようにしていたのですが、水性塗料ではなかなかキレイに拭き取れませんでした。
もしかすると、方法に問題があるのかもしれませんが、拭き取りのタイミングに関してはもう少し研究が必要そうです。
今回の経験からは、水性塗料でのスミ入れを拭き取るタイミングは、塗料が乾燥するタイミングが1番やりやすいのではないかと感じました。
塗料の希釈も含めてもっと研究したくなりました。
拭き取りについては、別記事でまとめていますので、参考にしてみてください。
最後にもう一度結論
今回の経験からは、塗料1:溶剤1:マイペット0.5の割合で希釈すると、スミ入れ塗料として使いやすくなることがわかりました。
ただし、塗料と溶剤の割合を固定して検証したため、今後改良の余地はたくさんあるなと感じています。
例えばスミ入れの流れをよくしつつ、塗料の成分が分解されないギリギリを狙うために溶剤をもう少し多くするといったような感じです。
そのため、塗料1:溶剤2:マイペット0.5でもよさそうです。
ハンドリングの感覚も人それぞれなので、気になる方は色々試して自分なりのレシピを生み出してもらえると幸いです。
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